台風15号から一年
令和元年9月9日、千葉県を中心に猛威を振るった台風15号の襲来からもうすぐ一年になる。
同年9月5日に南鳥島近海で発生したこの台風15号は、「非常に強い」勢力を保ったまま東京湾を抜けて千葉市付近に上陸。停電、鉄塔の倒壊をはじめ、屋根瓦や看板、ビニールハウスなどが軒並み吹き飛ばされた光景に、「風」の破壊力と恐怖を改めて強く痛感させられた。千葉県の被害状況(令和2年8月25日、千葉県防災危機管理部発表)は死者8人、重傷者15人、軽傷者76人、住家被害全壊426棟、半壊4,486棟、一部損壊76,319棟となっている。死者は停電による熱中症の疑いなども含まれている。松戸市でもビニールハウスや、果樹園の倒木などの被害に見舞われた。
令和2年は全国的に新型コロナウイルスに振り回されているが、房総半島では現在でも、昨年の台風15号で吹き飛ばされた瓦の代わりにブルーシートで屋根を覆っている光景が至る所で見られる。これからの台風到来シーズン、不謹慎に思われるかも知れないが、心配の種はコロナウイルスではないだろう。
今年9月1日、台風10号が太平洋上に発生。9月3日現在、「特別警報級」の勢力にまで発達して沖縄、九州地方上陸の恐れがあるとして、命を守る早めの対策を呼び掛けている。毎年のように起きる甚大な風水害。もはや「想定外」という言葉では済まされないだろう。
松戸市は江戸川の恩恵を受けながら発展してきた街でもある。一方でいつの時代も氾濫する水との戦いを避けられずにきた。万が一、江戸川が氾濫した場合、想定最大規模で松戸駅の浸水深は約4.2mとして、駅西口ペデストリアンデッキにまで迫る高さが予測されている(国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所公表)。江戸川の氾濫にまで至らなかったとしても、昨今のゲリラ豪雨や線状降水帯などの集中豪雨による雨量が、下水道や排水ポンプの処理能力を超え、低地での内水氾濫をしばしは引き起こしている。
国土交通省が作成に乗り出した、洪水などで浸水が予想されるエリアを3Dで示すハザードマップなどを積極的に活用して、被害を最小限に抑える対策は急務だ。遊水地や調節池を確保するには用地の取得が困難であり、内水氾濫時の排水能力に限界があるのなら、地下に雨水を一時的に貯留する大型雨水地下貯留施設の導入を求めたい。費用はかかるかもしれないが、災害に強いまちをアピールするシンボルとしたい。