健康寿命・平均余命について

令和6年12月定例会 一般質問より

質問

 直近の国勢調査である令和2年の日本人の平均寿命は男性で81.56歳、女性で87.71歳となっています。いまから約70年前、ちょうど日本が高度経済成長期を迎える入り口ともいえる昭和30年の平均寿命は男性で63.60歳、女性で67.75歳でした。この間の推移を見ますとほぼ順調に右肩上がりのグラフを描きます。
 一方、定年を見ますと、高年齢者雇用安定法改正により来年令和7年4月から、被雇用者が継続就労を希望する場合、65歳まで雇用機会を確保することが義務化されますが、現状は段階的な引き上げなどが行われてはいるものの、概ね60歳といったところだと思います。これに対して昭和30年当時の定年は概ね55歳でした。その後、平成10年の高年齢者雇用安定法の改正法施行により、現在の定年60歳に引き上げられました。因みに平成10年の平均寿命は男性で77.16歳、女性で84.01歳でした。
 これらの数値から定年後から平均寿命までの期間は、昭和30年の男性で8.6歳、女性で12.75歳、平成10年の男性で17.16歳、女性で24.01歳、令和2年の男性で21.56歳、女性で27.71歳となります。
 この期間が年々伸びています。のちに述べますが、健康寿命も延びておりますので、これは非常に喜ばしいことではありますが、この期間をいかに過ごすのか、これは個人の問題だけではなく、国や自治体にとっても大きな影響のある問題であると考えます。
 定年、平均寿命に伴って、関連する年金支給の時期を見てみます。前出の時期に沿いますと、国民年金法の制定が昭和34年ですから、昭和30年は厚生年金のみということになりますが、その年金支給開始時期は男性で55歳、女性で50歳。定年と同時に支給が開始されたわけですが、受給期間の平均は男性で8.6年、女性で17.25年でした。
 平成10年の年金支給開始時期は男女ともに60歳。この時も定年と同時に支給が開始されましたが、受給期間の平均は男性で17.16年、女性で24.01年でした。
 令和2年の年金支給開始時期は男女ともに基本的に65歳。定年からの5年間を埋めるように、繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」制度が設けられましたが、以後受け取れる年金額は65歳から受け取る基本的な額より減額されます。よって65歳を基本的な年金支給開始時期とした場合、年金の受給期間の平均は男性で16.56年、女性で22.71年となります。
 しかし、これまで例に挙げてきた定年後から平均寿命までの期間や年金受給期間は、単純に平均寿命から定年や年金支給開始時期を引いた数値となります。平均寿命とは、0歳が何年生きるかの平均値であるのに対し、ある年齢の方が、あと何年生きられるかの平均年数を「平均余命」と言います。例えば、令和2年であれば、平均寿命から年金支給開始時期の65歳を引いた数値は、先ほど申し上げました通り男性で16.56年、女性で22.71年となりますが、65歳の平均余命は男性で19.97歳、女性で24.88歳となり、男性で3.41年、女性で2.17年数値が大きくなり、男性で84.97歳、女性で89.88歳まで生きる計算になり、これが現実的な数値になります。
 定年後に、あと何年くらい生きられるのか、あと何年くらい元気に活動できるのかといった、新たに人生設計をした時、実は男性で19.97年、女性で24.88年といった長い期間になるわけですから、時間を有効に使って就労をしようとか、地域活動など社会参加をして地域や人の役に立とうとか、さまざまな意欲を掻き立てる要素になるのではないかと思います。
 一つには「働けるうちは働く」ことで、少子高齢化により現役世代の負担の増加が懸念される年金制度や、増大する社会保障費の軽減が期待できます。現役時代と違ってフルタイムで働く必要がない人も多いと思われますので、地域活動や趣味を楽しむことに有効に時間を使っていただけるのではないでしょうか。何より、働くことや社会参加をすることは健康維持につながると思います。
 そこで重要になってくる概念が「健康寿命」です。健康寿命の定義は、国・県においては「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」であり、市区町村では「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる期間」と異なりますが、簡単に言えば、健康に生活できる期間です。健康寿命は統計的な概念ではありますが、市民一人ひとりが働くことや社会参加することを含め、自らの行動により自らの健康寿命を延ばす、言い換えれば健康で長生きすることができるのではないかと思います。
 また、我が国の高齢化が急速に進む中、社会保障制度を持続可能なものにするためには、平均余命が延びる以上に健康寿命が延びていくことが必要になってきます。
 そこでお伺いいたします。60歳や65歳など一つの節目となる定年後も、市民が意欲的で充実した人生を送るために、新たに築く人生設計の基となる情報として、「健康寿命」や「平均余命」などのデータを広く周知する考えはありますか?
本市のお考えを伺います。

【答弁】

 平成26年度に開始いたしました健康増進計画「健康松戸21Ⅲ(スリー)」では、健康寿命の延伸を基本目標としております。本市では、日常的に介護を必要とせず自立した生活ができる期間である65歳平均自立期間を年齢に換算し、健康寿命としております。
 千葉県が公表する本市の健康寿命につきまして、令和2年は男性82.83歳、女性85.91歳であり、健康松戸21Ⅲの基準年である平成22年の男性81.92歳、女性84.72歳と比べ、いずれも延伸いたしました。なお、平均余命については、健康増進計画の中で、健康寿命の関連指標としております。
 今年度、健康増進計画の改訂作業を行っており、来年度から「健康松戸21Ⅳ(フォー)」として開始する予定でございます。新たな計画においても、健康寿命の延伸につきましては、引き続き基本的な目標として位置付けたいと考えております。
また、生涯現役社会の実現に向けた多様な就労・社会参加支援の促進につきましては、高齢者施策に関する計画「いきいき安心プランⅧ(エイト)」において、施策の一つとして取り組みを進めているところでございます。
 今後の周知についてでございますが、市民一人ひとりが生涯を通じた健康づくりについて意識を向け、自らの生活を見直すきっかけとなることが重要です。
 そのためには、食生活や運動など健康的な生活習慣に関すること、生活習慣病やフレイルに関すること、地域で取り組まれている様々な健康づくりに関することなどと共に、健康寿命や平均余命に関することについても幅広く周知を進め、「誰もが健康で心豊かに暮らせるまち」の実現につなげてまいりたいと考えております。

【要望】

 そもそも、高齢者とは、或いは 老後とは どういった方を 対象にした言葉なのか、(WHO)世界保健機関では 65歳以上を 高齢者としているとのことですが、かつては 定年してからの 期間や 年金の受給期間を 指していた言葉であり、まさに 寿命までの 余生で あったのではないかと考えます。

 しかし近年、生活スタイルの変化や、医療の発展により寿命が延びるとともに定年後の期間も延びております。また、元気で長生きするためのさまざまな施策も功を奏し、健康寿命も延びている現状にある中、定年された方々がまだまだ本当に若いことを日々の生活の中で実感しますし、皆様もそう思われているのではないでしょうか。
 昭和21年に新聞連載が始まりました国民的まんが、サザエさんに出てくる波平さんは54歳だそうです。私ごとで恐縮ではございまが、私、この2月で58歳を迎えます。どうでしょうか? 私と波平さん。因みに、私が生まれた昭和42年に連載が始まった天才バカボンのパパは、皆様、ご存知の通り41歳であります。
 かつて「定年後」と「お年寄り」という言葉は同義語のようなものであったのではないかと認識しておりますが、法的な定義や基準は別として、一般的な認識としては今や65歳など高齢者ではなく、もはや75歳ですらお年寄りと呼ぶには若過ぎるのではないかとさえ思います。
 一方で、少子高齢化により、年々増大する社会保障費に対する現役世代の負担が膨らみ続けている現状がありますので、定年後も、まだまだ働ける元気な方々に、就労する意欲を引き続き持っていただくことは、社会保障制度を持続させていくためにも喫緊の課題ではないかと思います。
 経済の活性化においても、年金以外に将来の収入が期待できない未来を想定した時、老後の生活のため蓄えに走るのは当たり前のことで、俗に言う「お金が回る」状況には至らないと考えます。そこで、「果たして自分は何歳くらいまで働くことができるのだろうか」といった指標が必要になってまいります。
 ご答弁にもありましたように、健康であることが前提でありますが、元気で長生きをすることにとどまらず、社会への貢献として、意欲のある限り、少しでも長く働き続けられるよう、労働時間の配慮や職場のバリアフリー化など、職場環境の整備に支援をしていただくことは、人材の確保に苦慮している企業を助けることにもつながりますので、健康寿命や平均余命など、施策の基礎ともいえるデータを庁内で共有していただき、元気で活力に満ちたその意欲を、最大限に活かせる施策に取り組んでいただけますよう、お願いをいたしまして、私の一般質問を終わります。

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